融資の裏側 その1

Q1.銀行さんは決算書をどのように見ているのでしょうか?融資を受けるためにはどのような決算書が望ましいのでしょうか?

A1.実際は銀行ごとによって違いがありますが、地方銀行や信用金庫ではおおむね次のように見ています。

【貸借対照表】

銀行さんは基本的に貸借対照表を重視します。その中で重要になってくる箇所について説明していきます。特に重要なのは「純資産の部」についてです。

「流動資産」

現預金は多ければ多いほど評価が上がります。

よく耳にする「預金が多いと融資が受けにくい」というのは、どうやら間違いのようです。

仮払金や貸付金は非常にマイナス要素になります。

このような勘定科目が決算書に載っているのは会計事務所が融資について知識がないことの証拠。

一度決算書を見直してみて下さい。

売掛金の中に不良債権がある場合は、売掛金から除外して計算されます。

不良債権とは得意先が倒産しているもの、1年以上連絡が取れなくなっている得意先に対するものなどです。

在庫の金額は適正な金額であれば問題ありませんが、適正な金額を超える在庫は査定上マイナスとされます。

「適正な在庫」とは在庫の回転率から考えます。

在庫の回転率は

売上数量÷{(期首在庫数量+期末在庫数量)÷2}

で求めます。

これは「当期における平均的な在庫が、当期の売上により何回はけたのか」という意味合いです。

もし大量の在庫を抱えることが経営上必要な業種の場合は、「なぜ、それだけの在庫が必要なのか」をしっかり説明して下さい。

・「固定資産」

固定資産は基本的に嫌われます。

どうしても必要なものは上げる必要がありますが、どちらでもいいようなものは会社に計上しない方が良いでしょう。

例えば、社長のベンツを複数台購入して減価償却をするのは、税金が少なくなりますが、融資上はマイナスということです。

さらに税務上も、調査の時に指摘される可能性が高いです・・・。

・「繰延資産」

繰延資産も余計なものは上げないほうが良いようです。

繰延資産は「マイナスの資本」と考え、後ほどご説明します「実質資本」の計算上マイナスになります。

長期前払費用も繰延資産と同様に「マイナスの資本」と考えて、実質資本の計算上マイナスされます。

・「負債の部」

役員借入金は、負債と考えません。

場合によっては「自己資本」と捉えてもらえる場合もあります。

ただし、銀行は「スコアリング」で会社を格付けしますので、参考数値ということにしかなりません。

どうしてもという場合はDES(デッド・エクイティ・スワップ)を使って資本に組み入れる方法が有効です。

・「純資産の部」

銀行は実はここを最重要視します。

純資産の部が債務超過、つまりマイナスになっていると基本的には融資の土俵に上がることができません。

実際は「実質自己資本」というものを見ます。

「実質自己資本」=「純資産の部」–「社長貸付金」–「繰延資産」–「長期前払費用」という計算をします。

つまり繰延資産や前払費用などの換金性のないものは、資産とは見てくれないということです。

また「純資産の部」を重視するということは、過去からの利益である「繰延利益」を重視しているということです。

繰延利益とは「税引き後利益」が積み重なったものですから、節税を重視した結果「税引き後利益」を最小にするのは融資上適切でないということです。

融資と節税は相反するということを先程お伝えした理由はこのためです。

この実質自己資本がマイナスになると融資は非常に難しくなります。

銀行は自己資本比率も重視しています。

20%は欲しいところです。

自己資本比率が低いときはDESを利用して役員借入金を資本に廻す方法も有効な方法です。

【損益計算書】

損益計算書は会社の経営状況を判断する際、最も重要な書類です。

しかし、融資においては貸借対照表より若干重要性が落ちます。

その中でも融資で見られるポイントをいくつかご紹介いたします。

まずは減価償却費です。

減価償却費は法人税法上、上限までであれば少なく償却しても問題ありません。

そのため減価償却費を減らせば利益が出すことが可能になります。

この減価償却を減らして利益を出すという方法は融資上も有効か否かについてですが、結論としてはあまり意味がありません。

銀行さんは固定資産台帳を見ますので、限度額まで償却していないと手直しをされることになります。

役員報酬については、借りる金額と役員報酬の1年間の総額はほぼ同じくらいにしておくことを要望されます。

最終的に銀行が損益計算書で見るのは「税引前利益+減価償却費」です。

これは銀行が借入金の返済能力を「税引前利益+減価償却費」と考えるからです。

この額の10倍、つまり10年間で返済できる額までは融資は出やすいということです。

特別損失や特別利益は「一過性」のものとして、融資の場合はあまり見ません。とは言え、最終赤字はマイナス要素になりますので、銀行内部で良い扱いをしてもらえるよう担当者にキチンと説明して担当者を味方に引き入れておくことが必要です。

粗利益が前年と比較して大きく変わっていると在庫調整を疑われます。本当に理由があるときは事前に説明しておくと良いでしょう。